○● 勉強生の勉強生活 ●○
君のペンが生み出したアルファベットの羅列に、私は眉を寄せた。
「・・・・・・読めん」
「うそぉ」
言いたいことがわかりそうで、わからない。
薄暗いラウンジの隅に設置されたテーブルの上には意味の理解できないテキストが、バラバラバラ。
それに目を走らせながら溜息を吐いた私の正面では、君が分厚い文法書をめくっている。
指先で擦って枚数を数えてからぺらりとめくる、わりと規則的な音に耳を傾けながら、私はガラス張りの壁から、ミニゲームを繰り広げるサッカー部員たちを眺めた。
ペラ・・・・・・ペラ・・・・・・
彼らはあんなに激しく動いているのに、聞こえてくるのはページをめくる音、シャーペンが紙に当たる音、溜息を吐く音。
君と私の溜息が重なった。
「・・・・・・なんで私たち、こんなことしてるんだろ」
ぽつりともらした声はとっても小さかったけど、音の少ないこの空間では、ちゃんと君に届いたはず。
「学生だし。仕方ないよ」
同じく小さな君の声は、はっきり私の耳に届く。
「うーん・・・・・・」
じゃあ、なんで私は学生なんだろ。
そんなことを思ったけど、声に出したら君は笑うような気がしたから、黙ってテキストを読んだ。
ページをめくる音が寝息に変わったことに気付いたのは、辺りの暗さでテキストの文字が読みにくくなったと感じた時だった。
そろそろ切り上げよう。
そう思って顔を上げたのと、君の頭がカクンと掌からずり落ちたのは、ほぼ同時だった。
「あれ、ヤバ・・・・・・寝てた」
「そうだね」
君の小さな声が掠れてる。
私は微笑んだ。
「暗くなってきたよ。帰ろう」
ふと見た外のグラウンドでは、サッカー部員たちが集まって話しこんでいる。ミーティングか。
「うん」
君は答えて、文法書を閉じた。
踏み出した外の風はとても冷たくて、私は着崩したブレザーのボタンを閉めた。
人気のない、広い広いグラウンドを行く。
「寒いなぁ」
呟いた小さな声が、白くなって空気に溶けた。
私は眉根を寄せた。
「見て見て。雪女」
口を開けてほうっと息を吐くと、あたたかな冷気が飛び出していく。
「これからもっと寒くなるよ」
君の口からも同じものが飛び出す。
それは、グラウンドのライトの中で、とても自然に消えていった。
私は微笑んだ。
寒いのにどこか、暖かかった。
「そうだね」
答えると、君が楽しそうに笑った。
「冬が来るよ」
「うん」
寒いのは苦手なはずだったのだけど。
飛び出した白は、盛大に広がって掠れて消えた。
「なんか・・・・・・楽しみだ。いろいろ」
そう呟けば。
「だねー」
隣から、君の声。
視界の隅に、白い吐息がちらついた。
冷たい冬の到来に、少しだけあったかくなれた気がする。
【完】
こんばんは。夢藤ですv
ここはもう冬ですねー、完全に。寒いです。
風邪が流行っております。私も例に漏れず現在のどの痛みに悩まされております;しかも、熱とかは出ずに長引くから性質が悪い(涙)
皆さんは私の二の舞にならないよう、健康管理にはしっかり気を使ってくださいね。手洗いはちゃんと石鹸で(ちなみに私は石鹸は使いませn/殴)
でも、これだけ寒くなってきちゃうとやっぱりこれからが楽しみですv
大河新選組!の続編もありますし・・・紅白見ながらみかん食べるのが何よりも楽しみです。。
では、どうでもいい感想を最後まで読んでくださりありがとうございます!
夢藤でした〜♪
2005/11/07
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