□■ 月と灯と雨と ■□


 空に形を焼き付ける半月は、静かな雨に遮られて、ぼんやりと翳んで見えた。

 肌に当たる雨粒は、冷たく優しく私を濡らしていく。
 街灯の薄灯りは、暖色系。
 その中で降り続く雫は、優しい軌跡を描いている。


 そこは静かで、冷たくて、優しくて、暖かい世界。


 こんなにきれいな夜の雨に傘を差すのは、なんだかとてももったいないような気がして。



 目を閉じた。
 サァー・・・・・・という、静かな静かな、優しい音がして。
 服では隠すことのできない顔や、胸の辺りまで持ち上げた両掌が、冷たい空気に触れながら、優しい雫を感じた。
 鼻を掠めるのは、雨と夜のやわらかなにおい。

 髪や服が濡れて肌に張り付く感触が、今はむしろ心地良い。



 ゆっくりと、目を開ける。
 雨が入らないように細めて開けた目の、瞼に当たる雫が暖かい。
 その向こうに見える半月の淡い光が静かな雨に絡まって降り注ぐ。

 それは体温に溶け込んで、私は雨とひとつになる。



 視界に映る、月の雫をやわらかく包む薄灯りは、暖色系。
 それは、静かな世界を飾るスポットライト。


 全てが、私たちを暖かく包み込む。


【完】  

  あとがき
 こんにちは、夢藤です。
 はぁー・・・やっと現実に戻ってきたような気がします。
 この前、塾から帰る途中、突然雨に降られてですね・・・すっごい小雨で、なんだかとてもきれいだったんです。。
 その時感じたことを、全てこの話に詰め込みました。
 だから、やっと過去から戻ってきたような・・・
 あぁきれいだったなー・・・(戻ってない??)

 てゆうか、短い・・・;
 やっぱり詩かな、これ(汗)

 それでは、こんなところまで読んでくれてありがとうございました!
 感想とかもらえると嬉しいです、夢藤でした〜☆


  2005/10/08